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  • 執筆者の写真TERUSHI

株式会社いろどり様 「葉っぱビジネス(いろどり事業)」の取材

去る10月に、徳島県上勝町にある株式会社いろどり様の「葉っぱビジネス」(正式名称は”いろどり事業”)の取材をさせて頂きまして、先日BBCより公開されました。






庄園FILMは夏以降、キャンパスツアー動画や記録映像系のお仕事が多く、久々の取材系のお仕事でした。


同社のこの「葉っぱを集めて売る」という事業、実は同社の話ベースに映画化もされていて、かなり有名なお話です。自分は映画を見てはいないのですが、友人に話を初めて聞いた時に「おばあさんが生き生きと働いている!素晴らしい!」「しかもパソコン&タブレットを器用に使いこなしている!」と衝撃を受け、いつか自分も映像化したいと企画を温めておりました。


今、日本では超高齢化に対する脅威と、女性の待遇の格差が叫ばれている。そんな中、この2つの問題に対する良い見本になるのでは無いかと思い、主軸をそちらに置くことでポジティブなメッセージを伝えられるのでは無いか、と思い企画を書き、実現しました。



映像内で横石さんが事業の内容、なぜこのアイディアを思いついたか、女性と高齢者の登用の重要さを述べてらっしゃいますが、編集しながら「4、5分の映像では短すぎる」と思ったので、今回こちらのブログに、泣く泣くカットした内容や、自身が取材をして思ったことを綴りたいと思います。



株式会社いろどりさんがされているこちらの事業。とっても簡単に説明させていただくと、地元の農家さん(高齢者)がその日注文の入った葉っぱを集め、それを出荷し売る、というものです。葉っぱは最終的に日本料理を彩る「つまもの」として利用されるとのことです。

いろどりさんは、この農家の方々が注文の確認や受注が取れる情報ネットワークシステムを運営されています。採集に行かれる農家の方々はパソコンや携帯、更にはタブレットも駆使し、当日の注文をとります。注文は早いもの勝ちで、とっっても競争率が激しいそうです。


朝8時前から取材をさせて頂いたのですが、取材した農家さんは8時にはパソコンの前に座り、なにを注文取るかかなり真剣な表情で考えてらしたのが印象に残っています。



このアイディアを思いついたのは同社社長の横石氏。上勝に来て約40年ほどで、地域づくりに関して携わっている長さで言うと「日本で一番くらい」だそうです。


徳島県の山間にある、人口約1500人の小さな町の上勝町(かみかつちょう)は現在も決して人口が多く無いこの町は今以上に人口減・高齢化が激しかった。若者は地元で仕事を探さず都市部へ出て行き、残されたのは地元の農家の方々。昔は林業が基幹産業だったそうなのですが、それも衰退の一途を辿っていた。そう言った状況が続き、地元民はみんなで集まっては酒を飲み、「行政が悪い!」と愚痴をこぼしていたそう。


上勝に赴任された横石さん、「状況を変えるには女性が活躍する職場、高齢者がいきいきと働ける環境」が必要だと強く思っていたそうです。たまたま大阪で訪れた飲食店でもみじの葉っぱを見た時にこの条件にぴったりと感じ、「葉っぱを売る」というアイディアを思いつかれたとのことです。


ですが、上勝に戻り実際にこのアイディアを話した際、葉っぱを集めて売るなんて誰も信じず、話も聞いてくれなかったそうです。たしかに葉っぱを集めて売る、なんて言われると普通驚くでしょう。人間は問題や機器に対し「どうにかしなければいけない」と思いつつも、新しいアイディア・大きな変化を嫌うことが多い生き物だと思います。


辛抱強く何軒かの農家さんを説得し、次第に結果が出始め「これでやっていける」と思われたそうです。現在は300人近くの農家さんが携わり、平均年齢は70歳、8割は女性だと言います。さらに中には年間1,000万円以上稼ぐ農家の方もいらっしゃるそうです。


約300種類の葉っぱがあるそうで、種類によって値段や最終の難易度が変わるとのことで(農家さんと言えども全ての種類の樹木を持っているわけではない=取れない種類のものもある)、より単価が高く・簡単に取れるものが狙われる傾向にあると言う。なので、取材した農家の方の真剣な眼差しも理解できますよね。それで全てが決まってしまうので。あの時は農家さんと言うよりは「ビジネスウーマン」の眼差しだったと思います。


なかでは処理のスピードが早いパソコンに買い変えた農家さんもいるという。。


そんな農家さん、82歳になった今でも毎日採集に出て働いていると言います。器用にタブレットを使いこなし、「仕事が楽しい!100歳まで続けたい」「夢のある仕事」と笑顔で話されていました。



「上勝が取り組んでいること(Zero-wasteのことも含め)は、世界どこでも通用すると思っています。人が幸せに生きていくには、居場所と出番、そして役割が必要だと思うので、個を見てそれぞれに居場所を作って行けば地域社会はきっとよくなります」と横石さん。


仕事があることが元気の源、と80歳を超えた方がイキイキと働く姿は、どこでも見られるものでは無い。

自分も自然が豊かで人口が少ない街出身なのですが、横石さんの様な方がいるかいないかで地方は大きく変わってくるのでは無いかと強く思いました。


年齢や性別、そして住んでいる場所問わず、人がいきいきと働き・暮らして行ける様な社会になれば良いなと思い上勝を後にしました。


編集時はインタビュー内容を全て文字に起こして、ポイントとなる言葉を拾っていくのですが、拾うところが多く、全て拾うと元々の時間(5分程度)を大きく超えてしまったので、取捨選択をかなり迷いました。BBCのエディターさんと相談し、最終的に彼女の抜群のエディティング技術で分かりやすく、綺麗な形にまとまったと思います。


どの案件も自身の心に残るものばかりなのですが、今回のは特に心に残りました。


株式会社いろどりの横石さん、農家の方、そしてBBCのエディターさんに深く感謝いたします!

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